外反母趾とは?原因と、自分でできるケア・履き物の選び方
親指のつけ根が靴に当たって痛い。
幅広の靴を選んだのに、なぜか同じところが気になる。
外反母趾のある方にとって、履き物選びは「大きめなら大丈夫」とはいかないものです。
実は、足全体の横幅だけでなく、親指のつけ根に何が当たるか、足指を押し込めていないかも関係しています。
まずは、外反母趾で足に何が起きているのかを見てみましょう。
外反母趾は、親指の向きとつけ根の形が変わること
外反母趾は、足の親指が人さし指の方へ曲がり、つけ根が内側に突き出してくる変形です。
親指の先は隣の指へ寄り、つけ根は反対側へ張り出すため、上から見ると「く」の字のような形になります。
この出っ張った部分が靴に押されたり、こすれたりすると、赤みや痛みが出ます。[1]
足全体は収まっていても、出っ張った部分だけが当たって痛い。
外反母趾の履き物選びで、横幅の数字だけでは判断しきれない理由です。
ヒールを履く人だけに起こるわけではない
外反母趾というと、先の細いパンプスやハイヒールを思い浮かべる方も多いでしょう。
足指が押し寄せられる細いつま先や、足の前側に負担がかかる高いヒールは、外反母趾に関わる要因です。[1]
ただ、ヒールを履いていない人にも起こります。
生まれつきの足の形や、家族から受け継いだ足の構造なども関係するためです。[2]
「この靴を履いたから」と、一つの原因だけで説明できるものではありません。
一方で、毎日履くものが足をどこで押しているかは、今から確認できます。
自宅では、足指を開く練習から
履き物の当たりを減らすことに加えて、足指を自分で動かす練習も、取り入れたい方法の一つです。
親指を人さし指から離すときには、足の内側にある「母趾外転筋」という筋肉が働きます。
指を手で引っ張るだけでなく、自分の力で開くことが、この筋肉を使う練習になります。
軽度〜中等度の外反母趾がある若い成人24人を対象にした研究では、補助具だけを使うグループと、補助具に足指を開く運動を加えたグループを8週間比べています。
運動を加えたグループでは、親指の曲がる角度が小さくなり、母趾外転筋の断面積が増える変化が見られました。[6]
※指導を受けながら補助具と運動を併用した研究です。以下は動きに慣れるための練習で、研究と同じ運動量・条件ではありません。
▼足指を開いて、床に下ろすワーク
- 椅子に座り、裸足で足裏を床につける。
- かかとと足指のつけ根を床に残し、足指だけを少し持ち上げる。
- じゃんけんのパーのように、足指を開く。
- 小指を横へ開いて床に下ろし、親指も人さし指から離すように開いて、ゆっくり床に下ろす。
- 力を抜いて、元に戻す。
最初は、動きを覚えるつもりで数回から試してみましょう。
足首ごとひねったり、指を強く引っ張ったりせず、指そのものを動かします。
痛みが出る場合は中止し、うまく動かせないときは無理に広げる必要はありません。
そして、運動する時間だけでなく、普段の履き物で足指が押し込められていないかも確認してみましょう。
履き物を選ぶときに確認したい3つのこと
1.幅広でも、つま先が細くなっていないか
「幅広」と書かれていても、先端に向かって細くなる形では、足指が押されることがあります。
確認したいのは、親指のつけ根付近の幅と、その先にある足指の空間です。[3]
- 親指が、靴の横から人さし指の方へ押されていないか。
- 足指が重なったり、丸まったりしていないか。
- 靴の中で、足指を少し動かせるか。
見た目の「幅広」だけでなく、履いたときに足指がどう収まるかを確かめます。
2.出っ張ったところに、硬い部分が重ならないか
つま先に余裕があっても、親指のつけ根に硬い部分が当たれば、痛みの原因になります。[1]
試着では、次のような場所を確認してみてください。
- 靴の縫い目や補強部分。
- サンダルのベルトの縁や付け根。
- 足の周囲を囲む、立ち上がった縁。
足先が開いたサンダルでも、ベルトが当たる位置は製品によって違います。
ベルトを緩めるだけで当たりが変わるのか、緩めても硬い縁が触れてしまうのか。
ここを分けて見ると、調整で合うものと、形を変えて探した方がよいものを判断しやすくなります。
3.楽にするために大きくして、足がずれていないか
ひとつ大きいサイズにすると、横の当たりが楽になることはあります。
ただし、長さも余ると、歩くたびに足が前へ滑ったり、かかとが浮いたりする場合があります。[4]
そのため、サイズを上げたら、歩いたときの収まりまで確認しましょう。
- ひもやベルトを調整しても、足が前後にずれないか。
- 当たりを避けるために緩めすぎて、脱げやすくなっていないか。
- 歩くと、結局同じところがこすれていないか。
長さは合っているのに横だけがきついなら、同じ商品のサイズ違いだけでなく、幅や形の違うものも候補になります。[4]
試着では「今、当たらないか」を確かめる
試着は座ったままで終えず、立って、少し歩いてみましょう。
夕方に足がむくみやすい方は、その時間帯に試すと、普段感じている窮屈さも確認しやすくなります。
「そのうち伸びるだろう」と、痛い当たりを我慢して選ぶ必要はありません。[3]
履き物を工夫する目的は、突出した部分への圧迫や、足指の窮屈さを減らすことです。
履き替えるだけで、曲がった親指が元に戻るという意味ではありません。[2]
履き物を変えても痛みが続く、歩くのがつらい場合は、整形外科で相談しましょう。[5]
足指を動かす時間と、普段履く一足を見直す
自宅では足指を開く練習をし、普段はつけ根や足指を圧迫しにくい履き物を選ぶ。
この2つを、一緒に考えてみてください。
ALINEAリカバリーサンダルは、甲を覆う2本のベルトで締め具合を調整できます。
足先が開いているため、履いた状態で親指のつけ根とベルトの位置を確認できるのも特徴です。
選ぶときは、ベルトを調整して当たりが気にならないか、少し歩いて足がずれないかを確かめてみてください。
外反母趾の変形を治すための製品ではありませんが、足に合わせて履き心地を調整したい方の選択肢になります。
参考文献・資料
[1]日本整形外科学会.外反母趾
親指とつけ根の変形、靴との接触による痛み、履き物との関係について参照。
[2]American Academy of Orthopaedic Surgeons.Bunions
足の形・遺伝的背景との関係、履き物の変更による症状への対応と限界について参照。
[3]Guy's and St Thomas' NHS Foundation Trust.Choosing shoes to reduce foot pain
足指の空間、靴の形、調整機能、試着のタイミングについて参照。
[4]American Academy of Orthopaedic Surgeons.Shoes: Finding the Right Fit
幅不足をサイズアップで補う際の問題と、形の違う靴を選ぶ考え方について参照。
[5]NHS.Bunions
痛みが続く場合や、日常生活に支障がある場合の受診の目安について参照。
[6]Kim MH, et al.(2015).Effect of toe-spread-out exercise on hallux valgus angle and cross-sectional area of abductor hallucis muscle in subjects with hallux valgus. Journal of Physical Therapy Science, 27(4), 1019–1022.
19〜29歳の軽度〜中等度の外反母趾24名。補助具単独と、補助具+足指を開く運動を8週間比較。運動群は1日20分・週4日、週1回の指導を受けて実施。本文の少回数の練習とは条件が異なる。